気をつけて!地デジテレビとコピーワンス | 前途多難な地デジ化と心配な問題

【地デジって何?】

よく聴く言葉は『地デジ』ですが、地デジは略語で正式には『地上波デジタルテレビジョン放送』といいます。 今のTV放送は、地上の電波塔からアナログ電波を送信して、スカパーやBSデジタルなどのデジタル放送は、衛星を利用して送信しています。 この地上の電波塔から送る電波を、デジタルデータとして送信するのが地デジなのです。

地上波TV放送をデジタル化すると、送信できる情報量が格段に大きくなり、高品質なサービスの提供が可能となります。

16:9のワイド画面でハイビジョンの高画質映像が観られ、臨場感と迫力ある音声を楽しむことができるようになります。 また、電話回線と繋ぐことによって、視聴者参加型のクイズ番組へボタンひとつで参加できたり、テレビショッピングも簡単にできます。 データ放送により、リモコンを操作するだけでニュースや天気予報などの暮らしに役立つ情報や、当日から1週間の番組情報を見ることもできます。

建築物等の影響による受信障害が解消され、一般に「ゴースト」といわれるTV画像の二重写しがなくなり、音声が聞き取りにくい方も、ドラマやニュースなどの音声部分が全て字幕で読める字幕放送を楽しめるようになります。 移動中でも映像・音声の乱れが少なく鮮明にTV放送を受信することができ、データ放送も観られる携帯端末向けのサービス「ワンセグ」もあります。外出先でもテレビを観られるので、津波や台風の時などに大きな威力を発揮します。

地上デジタル放送は、欧米をはじめ諸外国でも、すでに開始されています。アナログ放送の停止が 米国では2009年、お隣の韓国では2010年をメドに予定されており、地デジ化は世界的な流れとなっています。 日本でも、2003年12月から関東圏、中京圏、近畿圏の一部で地デジ放送が開始されていて、2006年中には地方のTV局全部が地デジに変わっています。

2011年7月24日。 この日でアナログ放送は完全終了となり、それ以降、地デジ化していないTVでは全く放送を見ることができないようになります。

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【地デジ難民って何?】

しかし困ったことに、この移行に伴って「地デジ難民」が発生する可能性があるといわれています。

地デジで番組を見るためには、視聴者も先行投資をして何らかの方法で受信設備を用意する必要があります。 2011年以降もTVを見続けるためには、大きく分けて三つの方法があります。

1)地デジに対応する新しいテレビに買い換える。

2)チューナーや録画機を買う。

3)地デジの再送信に対応したCATVと契約する。

「地デジ難民」が発生する理由は、主に三つあります。

第1は、周知の問題。

現在、総務省などは、アナログ放送終了をテレビCMなどを通じて広く告知していますが、同省が公表したアンケート結果によると、アナログ放送終了の事実を知る人は93.9%、その時期について正確に知る人は60.4%にすぎなかったのです。 地デジ化を知らないまま「その日」を迎える人は、いきなりTVが観られないという事態になることも・・・

第2は、受信設備の普及率の問題。

前述のアンケートによると、地デジ受信機の世帯普及率は2007.03末で27.8%。同省ではこれについて「クリティカルマス(爆発的普及に必要とされる市場普及率)を超えた」と判断しています。 ですが、アナログ放送終了時までに普及率100%を達成できるかどうかについて、疑問視する向きもあるのです。低所得者などは受信設備を買えない可能性も充分考えられます。

第3に、地デジでも難視聴地域が発生する可能性がある事があげられます。

総務省による地デジ整備の状況と計画をまとめた『市町村別ロードマップ』によると、2010年末時点でアナログ放送が受信できている世帯のうち、30万〜60万世帯が地デジ放送を受信できないと予測しています。 その理由は、山間部や離島などで、送信設備を整備するめどが立っていないことにあるようです。

これらに対して総務省は、どんな手だてを講じているのでしょうか?

【総務省の対策と今後の問題点】

総務省の今後の対策として、これまで以上に細かいお知らせをテレビなどで発信する事が挙げられています。

普及率にたいしては、5000円程度の格安チューナーの開発販売を電機メーカーに対して求めていて、低所得者でも買いやすくするとしています。(ただし、現行受信機の買い控えを懸念するメーカーは、難色を示していようです)

また、難視聴問題にたいしては、今後4年間で約500億円規模の予算要求を行い、中継局の整備などに充てる考えを示しています。暫定措置として、難視聴地域向け衛星放送も検討するようです。

でも、これだけ多大な手間とコストをかけて地デジを推進する必要があるのか? その「政策」自体を疑問視する人もいたり、地デジ化を境にしてTVを見限るつもりの人も現れ始めました。番組内容は今までと大きく変わらないし、十分使えるのに今のテレビを廃棄しなければならなかったり、 コピーワンスといって、著作権保護のため録画機へのコピー回数も限られる事になるなど、マイナスの要素もあります。

また、「地デジ難民」という言葉自体に嫌悪感を覚える人も多く、「地デジを受信することが正常で、そうでない人が異常であるような表現が許せない」という人も。 移行政策に対する強い嫌悪感を持つ人も多いようです。今現在、地デジ化していない人の中には「この機会にテレビを見るのをやめる」とする回答が2.48%存在し、 少数ではありますが、テレビに見限られるのではなく見限る人もいるのです。

テレビは、現代では間違いなく、国民の娯楽と情報インフラを担う重要なメディアではあるけれど、視聴者から見て、今の地デジ政策の進め方は、やや強引すぎる面も目立ちますね。 「決まっていること」と片付けないで、今後のテレビのあり方を、より真剣に議論することも考えないといけないかもしれませんね。

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